- 活動報告 -

2016年度

▶ 平成29年1月30日~2月3日 海外視察調査報告 -オーストラリアでの慢性痛治療の現状について-

山口大学 整形外科:鈴木秀典、麻酔科蘇生科ペインクリニック:原田英宜
大阪大学 疼痛医療センター・臨床心理士:安達 友紀
滋賀医科大学 麻酔科・ペインクリニック科:岩下成人、理学療法士:久郷真人
東京慈恵会医科大学 麻酔科蘇生科ペインクリニック:恩田優子
愛知医科大学 学際的痛みセンター:池本竜則、看護学部:洞口典子

(参加者 計8名)

 上記メンバーにより、2017年1月30日から2月3日の5日間、シドニー大学Royal North Shore Hospital(RNSH)Pain Management Center(Professor Michel K Nicholas) における学際的な痛み治療を視察調査した。当センターは、Sydney大学におけるPain Management Research Instituteの教育、臨床研究の組織で、1994年から学際的な痛み治療を行っており、多くの研究成果を上げ、かつ最先端の治療が行われている。
 その治療法の中心となっている集団認知行動療法のプログラムは、ADAPT programと呼ばれ、外来患者向け、3週間120時間のプログラム(月~金曜日、9時~17時)で形成され、1グループ9-10人で構成されている。ADAPTを行うスタッフは、臨床心理士、理学療法士、看護師、医師で構成されているが、患者の指導は臨床心理士、理学療法士、看護師が中心となって行っている。
 総じていえることは、慢性痛治療の系統だったシステムが非常に効率よく作られている点と、医療スタッフの慢性痛に対する知識の深さであった。また、集学的治療を行うなかで、専門職としての医療スタッフの充実と教育レベルの高さは特筆すべき点である。
 慢性痛診療においては長い歴史を誇る施設であるが、我が国の診療システムも将来的には同様の診療体系が形作られていくであろうと感じさせられた。保険システムや医療システムの問題と連動させながら、我が国独自の診療体系を構築していければ幸いである。
 こうしたシステムを構築するうえでは、専門職としての人材育成が大前提の条件であり、現在私たちが作成を行っている、慢性痛教育プログラムの早期普及が、まずは現在の種々の問題点を解決しうる最初のステップであると実感させられた。

▶ 平成29年2月25日 NPO法人の評価を受審しました

 本事業は、平成28年度~平成32年度までの5年間実施するものであるが、平成28年度の取組を評価し今後の活動に活かすため、標記外部評価を実施しました。慢性の痛みに関する外部有識者として認定NPO法人いたみ医学研究情報センターに評価を依頼しました。
 評価は、平成28年度計画書を基に「慢性痛教育センターの設置」「慢性痛教育に携わる分野の医療リーダーの養成」「慢性痛教育資材の開発」の3つの観点項目について実施され、ほぼ計画どおりに進んでいる旨の評価を得ました。
 本事業では、このたびの評価による外部有識者の声を基に、今後の事業実施に向けた改善に取組むこととしています。

▶ 平成29年3月20日 本事業主催「痛みの市民公開講座」を開催しました

 本事業では、3月20日にANAクラウンプラザホテル宇部において、一般市民を対象とした「痛みの市民公開講座」を開催し、約170人の方にご参加頂きました。
 本事業は、慢性の痛みの集学的診療に豊富な経験を有する5大学(山口大学、大阪大学、滋賀医科大学、愛知医科大学、東京慈恵会医科大学)が連携して行うもので、それぞれの大学のノウハウを活かして共通のカリキュラムを作成し、医学、歯学、薬学の卒前卒後教育、看護、臨床心理学の卒後教育を行い、地域医療の向上を目的としています。
 当日は、座長の田口病院長の進行で始まり、連携大学である愛知医科大学学際的痛みセンター牛田享宏教授の「動いて治せ 足腰の痛み」、京都府立医科大学疼痛・緩和医療学教室細川豊史教授の「痛みは我慢しなくてもいいのですよ」の2つの講演が行われました。両氏とも、痛みの治療に関しては著名な方で、豊富な治療経験に基づく説明は非常にわかり易く、痛みの原因や治療の方法、日常生活での注意点など参加者には貴重な講演となりました。
 本事業としては、今後もこのような市民公開講座を実施し、多くの市民に参加していただきたいと考えております。